トップコミットメント

ESGを日本郵船グループの次の成長戦略とし、“Total Innovation”でサステナブルな社会と事業体を目指します。

物流を止めてはならない

水や空気と同じように海運?物流業も当然のように存在する産業だと考える人も少なくないと思います。しかし、新型コロナウイルス感染症が世界中で大流行し、地域によっては今もなお感染拡大が続く事態に直面し、普段はその存在をあまり意識されることのない海運?物流業が、当社グループの掲げる基本理念“Bringing value to life.”が示す通り、とてつもなく大きな社会的責任を担っているのだということを改めて実感させられています。当社グループは世界で約750隻の船を運航し、2万人近い船員が乗船しながら、人々にとって必要不可欠な荷物を運び続けています。物流を止めてはならない。安心?安全な人々の生活を支える。我々の責務である物流が機能しなければ、社会は成り立たないのです。当社グループの社員一人ひとりに、自分の仕事に誇りを持ち、この大きな使命、大きな責任をしっかり果たしていこうと、改めて強く伝えたいと思います。当社グループは、多くの国々から集まる多様な人材を強みに、人を尊重する文化と風通しのよい企業風土において化学反応を繰り返しながら、基幹産業である海運?物流業の中で、イノベーションを起こして生き残ってきました。これからも、イノベーティブな企業グループとしての意識を持ち、実際に行動に移すことができれば、150年、200年と存続することが可能なはずです。逆にもしそれらが欠落してしまうなら、市場から淘汰されるであろうという強い危機感を持っています。社会の変化が激しく、先の見えない不確実性の高まる時代だからこそ、ただ変化に翻弄されるのではなく、眼前にある多くの課題に徹底的に対峙し、当社グループ一丸となった“Total Innovation”でサステナブルな事業体を目指したいと考えています。

ESGでお客さまに選ばれる存在に

当社グループがサステナブルな事業体を目指すための土台が“ESG”です。船のみならず物流業というのは、化石燃料を大量に使用するという点において、地球環境に負荷を与えているのは確かであり、気候変動対応や環境保全の観点から“劣位”にあり、常に改善が求められる産業であることを私たちは理解しておく必要があります。私は、当社グループが社会的使命を果たすためには、「物流を止めない」ということだけでなく、この環境課題に対応する道筋を示さなければならないと考えています。そして、それこそが、私たちの今後の成長戦略の一つになると考えています。決して、他社と足並みを揃え、最大多数の動きをフォローしていくのではなく、フロントランナーを目指してこそ、さまざまなイノベーションが生まれるのだと確信しています。他社のトップとお会いすると、大きな関心事としてESGが話題に上ることが非常に多くあります。今やお客さまも、ESGやSDGs(持続可能な開発目標)にしっかり取り組む企業をパートナーにしたいと考えています。革新的な技術の活用や、環境を強く意識した輸送モードの提供によって、社会課題に真剣かつ具体的に取り組む企業として、多くのお客さまからパートナーとして当社グループを選んでいただく。当社グループと組めば、自分たちも先進的でサステナブルな事業運営ができると思ってもらえるようなアプローチを、次々と行っていく考えです。

ESGをベースとした成長戦略に向けて、サステナブルな事業構造へ

中期経営計画では、「Digitalization and Green」をテーマに、ESGを含めた4つの重点施策を掲げています。その枠組みは大きく変わりませんが、今後はESGを他の重点施策と同列ではなく、長期的な経営の方向性を示す羅針盤としながら、3~5年程度の中期の時間軸で事業戦略を描き、当社グループの企業価値を高めていく考えです。その戦略を描く際、起点となるのがESGということになります。中期経営計画のテーマのうち、「Digitalization」について、私はE(環境)の取り組みを加速するための重要なツールと位置付けています。例えば、(株)MTIをはじめとする4つのラボと連携しながらビッグデータやAIを駆使して、最適運航や気象情報の解析などに取り組んでいますが、これらによって燃費を改善できれば、排出するCO2も削減できます。さらに「Digitalization」は、働き方改革の推進とともに情報管理や物流システムのセキュリティといった、近年顕在化しているリスクにも対応する分野です。ほかにも、既存事業から得られるさまざまなデータも、ESG発想を組み合わせることで、新たな価値の創造につながると期待しています。一方、「Green」については、営業部門と技術部門が有機的に連携し、長い歴史で培ってきたグローバルなネットワークを活かして国内外の有力パートナーとともに、再生可能エネルギーをテーマとしたグリーンビジネスの事業化に向け取り組んでいるところです。その中でも洋上風力発電は2019年に洋上風力発電を促進する新法も整備されたことから、政府の積極的な後押しもあって着実に前進しています。次世代の舶用燃料についても同様に、水素やアンモニア等の研究開発をなお一層加速していくことになります。脱炭素化は当社グループのみで達成できるものでは到底ありません。さまざまなステークホルダーの皆さまと同じ目標に向かって協働することにより、一日でも早い達成に貢献していきたいと思います。

日本郵船グループの底力と“Total Innovation”

2019年に社長に就任する前は、長年、エネルギー輸送本部を担当してきました。当時は、当社グループ業績に貢献すべく、部下には明るくエネルギッシュに働いてもらえるような環境を作りながら、とにかく結果にこだわってきました。社長になっても結果にこだわる姿勢は変わりませんが、特に大きく変わったのは、グループ社員だけでなく、株主をはじめとするステークホルダー全体のことを常に考えるようになったことです。意識するステークホルダーが広がった分、責任もとても大きく感じています。その中で、グループ社員には、当社グループという大きな舞台のうえで、精一杯、自己表現してもらいたいと思っています。そういう集団であれば、活気にあふれ、笑顔も元気もあり、達成感も生まれ、グループ全体が必ずいい方向へと向かっていくはずです。当社グループには、足を引っ張り合うようなことはなく、何かあればお互い自然とフォローし合う風土が根付いています。先人が残してくれたこの素晴らしい風土をこれからも大切にしていきたい。グループ社員が明るく生き生きと働いている姿を見るのが、私にとって最高の瞬間です。また、当社グループの事業がグローバルに広がるなかで、採用や人員配置においても、ダイバーシティ&インクルージョンの観点は必要不可欠です。多様な人材を適材適所に配置し、性別や国籍など何ら区別なく、能力とやる気に応じて、それぞれの人に違う形で光を当て、会社が育成してきた人材が活躍できる会社でありたいと思います。一方で、当社社員のポテンシャルを十分に引き出せていないのではないかという思いから、人事制度の見直しを進めています。経営陣も社員も常に真剣勝負してほしいですし、真剣に議論しながら仕事をすれば、間違った結果にはならないと考えています。最後に、繰り返しとなりますが、ESGは、社会の一員として取り組む課題であるとともに、当社グループにとって採るべき成長戦略として徹底的に推進していく考えです。有事の際でも、混乱することなく、社会が必要とするモノを運び続けた当社グループの底力と、ESGを起点とした“Total Innovation”にぜひご期待ください。引き続き、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

2020年11月

代表取締役社長
長澤 仁志

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